株の個別銘柄として今回取り上げるのは、工業製品セクターの3M[MMM]だ。
多国籍複合企業(コングロマリット)である3Mの強み・買付根拠・記事執筆時点の運用成績についてまとめる。
3M[MMM]の強み
3Mは創業から120年という老舗で、現在では200カ国で6万種類を超える製品を販売している。
自分で文房具を買ったことがある人なら、3Mの製品は目にしたことがあるはずだ。
最大の強みはその規模感で、現在11もの異なった業界の製品を提供している。
それらは例えば以下のようなものを含んでいる。
- 自動車業界:安全衛生用具、研磨材、コーティング材など
- 一般産業用:火災炎症防止材、密封材、表面保護材など
- 政府関連:データセンターの冷却装置、消火装置、光ファイバー接続部品など
2022年の4ー6月期においては、中国のロックダウンやロシアのウクライナ侵攻などによる原材料と物流コストの問題(サプライチェーン問題)が影響し、営業利益率が前年同期から低下した。
しかしこれらの問題が緩和されれば、利益は増加すると予想され、それとともにフリーキャッシュフローの増加も見込まれる。
現時点においても財務状況は非常に安定しているが、上記のような理由から今後も増配の余地は十分にあり、長期的に見てもまだまだ伸びしろがあると言えるだろう。
買付の根拠
まず3Mという企業の製品は、当然のことながら私が子供の頃からよく見かけていた。
特に文房具では馴染み深く、ハサミや両面テープなどを米国株投資を始める前から使っていたのだ。
当初はどこのどんな企業かなんて気にしたことはなかったが、いざ米国株のどの企業に投資しようかと考えた時に、馴染みのあった企業が気になってしまうのは事実。
ただ、それを抜きにしても3Mには買付の根拠となる2つの事柄がある。それが以下だ。
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配当貴族銘柄であること
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割安なバリュー株であること
それぞれ少し詳しく書いてみる。
配当貴族銘柄である
「配当貴族」とは一定期間毎年配当の金額を増やし続けている企業のこと。
一般的には25年間連続して配当を増やし続けている企業のことであり、米国ではそれら企業の優良株を集めて算出した「配当貴族指数」がある。
その中でもS&P500の構成銘柄に含まれる大型株のパフォーマンスを測定する「S&P500配当貴族指数」が有名だ。
それでゴタクはともかくとして、3Mはなんと1959 年から毎年、増配してきたのだ。
つまり同社は、ベトナム戦争、ウォーターゲート事件、オイルショック、ブラックマンデー、世界金融危機、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックといったあらゆる激動の時代においても、毎年継続して増配してきたということ。
そして今後もフリーキャッシュフローの増加が見込まれているため、将来にわたって増配することは容易だろう。
割安なバリュー株である
バリュー株とはその企業の時価総額や価値に比較して、割安で取引されている株のことだ。
それに対して将来的な業績の伸びや成長が期待できる株を「グロース株」と呼ぶ。
この2種類の株はどちらが優位になるかというのが循環しており、昨年の暮れあたりから現在にかけてバリュー株優位となってきている。
この流れは過去の相場を振り返ってみても今後数年間は続く可能性が高いのだ。
このようなバリュー株の伸びが期待できる状況で、更に割安な銘柄を仕込むことができれば、中長期的に見て有意義であることは間違い無いだろう。
2022年8月末時点のPERは15倍付近で、過去10年間の平均である20倍よりも低い水準で取引されている。
つまり3Mの株は今現在でも非常に割安なのだ。
3M[MMM]の運用成績
3Mに関する現在の私の運用成績は以下の通り。
- 2020年12月:4株買付
- 2021年1月:1株買付
- 2021年6月:2株売却
- 2022年2月:1株買付
- 2022年8月:1株買付
結果的に現状で5株保有しており、通算のパフォーマンスとしては「-193.05$」と、率直に言って今後に期待しているというところ。
実際にはそれぞれ購入時は今より円高だったため、円換算すれば「-4,144円」となっている。(含み損)
1年半以上保有して上記の運用成績だと、モヤモヤしてしまうかもしれないが、そもそも長期的な目線で見ているため含み損は誤差としか考えてはいない。
むしろ私の投資の軸としてある「配当」を見れば、これまでに得た総額は「30.73$」であり、現在の為替レート(140円/1$)で換算すれば、4,302円だ。(税引き後)
保有しているだけでこれだけの金額が入ってくるのだから、銀行預金の利率がバカバカしく思える。
そしてこの配当金で更に株を買い増すことで、「複利成長」の恩恵を享受できるのが、配当投資の醍醐味というわけだ。
今回の個別銘柄まとめ
今回は保有銘柄レビューとして「3M(MMM)」についてまとめた。
世界的なコングロマリットである3Mは、大企業にありがちな懸念事項は少しあるものの、それを凌駕する規模感と安定性がある。
業務の成長性や財務の健全性はもちろん、毎年増配を行う企業であり、配当再投資による複利のパワーを享受できるはずだ。
未だに株価が割安なので、まだまだ仕込み時と言って良いだろう。
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