ハンサード社のアスパイアにて投資を開始して10年超が経過した。
このアスパイアという投資商品は、端的に言えば、「世界の優良ファンドに長期積立投資する」ものだ。
この全体像についてまとめておく。
ハンサードでは現在、アスパイアについて新規募集を行っていない。
従ってこの記事は現在既にアスパイアで積立投資を行っている人向けになる。
アスパイアでの積立条件
まずはハンサードのアスパイアでの積立条件だ。
ーーハンサード社についてーー
ハンサード(ハンサード・インターナショナル・リミテッド)はマン島に所在する金融サービス企業であり、ロンドン証券取引所に上場しているハンサード・グローバル・ピーエルシーを親会社としている。
最低投資額
※単位は全てGBP(ポンド)
- 150/月
- 450/四半期
- 900/半期
- 1,200/年
最低積立期間
10年
※満期時に75歳未満でなければならない。
引き出し
最低引き出し額:100 GBP
手数料:0
ポートフォリオ変更
リダイレクション・スイッチングともに年5回までは無料で可能。
※「契約書上は年1回までだが、システム上は年5回までになっている」ことをIFAに確認済み。
アスパイアの手数料
1番気になるというか押さえておくべきなのが手数料だ。
なぜなら、長期投資においては例え1%の手数料差でも、運用成績に大きく関わってくるからだ。
例えば、300万円を50年複利運用した以下のグラフを見てほしい。
11%で運用していたとしても、手数料を1%払っていれば2億円近い差が出てきてしまうのだ。
長期投資においてはたった1%が命取りというわけ。
では各手数料について順に説明していく。
ビッドオファースプレッド
毎月の積立額からファンドを買い付ける際に発生する手数料。
料率:積立額に対して7.5%
為替と同じように、ファンドには2種類の価格が存在し、買付時と売却時には価格差がある。
毎月積立てた金額により実際にファンドが買付けされるまでには、決済や為替取引などによりタイムラグが生じる。
なのでハンサード側は、その前に見込みでファンドを購入するわけだ。
見込みで購入する分、価格変動のリスクを負うことになるので、そのバッファーとして存在する手数料ということ。
これによって、「投資家にとっては売買を迅速にし、タイムラグによる価格変動リスクを抑えることができる」とのこと。
これは平たく言えば「売買手数料」であり、7.5%というのはとんでもなく高い・・・
なにしろ手数料が高いと言われている日本の投資信託でさえ、買付手数料は3%程度だからだ。
ただ、11年目以降はボーナスによって実質2.5%まで軽減されるから、やはり長期間続けるほど手数料が逓減される仕組みとなっている。
サービス手数料(システム管理料)
積立額や評価額に関わらず、毎月固定でかかってくるサービス料。
2023年7月現在は15.5GBP/月だが、インフレによる調整(値上げ)が入る可能性がある。
実際、私が積立を開始した2013年時点では11.75GBPだった。
ちなみに、払済みや積立停止にするとおよそ2.5GBP程度加算される。
初期ユニットに対する手数料
初期ユニットは積立開始から万2年までの積立額が入るユニットだ。
そこに対し年間8%の手数料がかかる。
例えば、積立額が月に5万円だとすれば、2年分では120万円(運用損益は考慮せず)なので、96,000円となる。
コレはとんでもなく大きいが、積立期間が経過するほど全体に対する割合が小さくなることや、ボーナスによって軽減される仕組みになっている。
累積ユニットに対する手数料
累積ユニットは3年目以降の積立額が入るユニットだ。
当然だが積立年数が経過するほど初期ユニットに比べて大きくなっていく。
この累積ユニットに対しては、“評価額に対して”年間1%の手数料がかかる。
つまり金額自体は積立額が大きくなるほど、評価額が高くなるほど大きくなるということだ。
例えば累積ユニット部の評価額が600万円なら6万円という具合。
この1%も次章でまとめるボーナスによって軽減される仕組みになっている。
早期解約手数料
満期になる前に解約した場合、先に説明した初期ユニットとこの後まとめるボーナスユニットの“すべて”が没収される。
これは正直、手数料と呼ぶにはあまりに大きすぎる。
まぁそもそも満期まで積立てることが前提だし、どうしても解約したくなったらまずは停止や減額を検討するのが先だろう。
アスパイアのボーナス
ボーナスとは一定の条件を満たすと付与される特典だ。
これによって、実質的に手数料を軽減したり積立金額を増やしたりできるメリットがある。
初期ユニットに対するボーナス
最初2年の支払額が入る初期ユニットに対しては、最大で積立金額×5ヶ月分のボーナスが付与される。
ただし条件として、5年間の積立が必要だ。
例えば、毎月5万円の積立だとすれば、掛ける5ヶ月で25万円ということになる。
このボーナスの付与タイミングは、実は最初の積立を行う時だ。
私の場合も以下のように、最初の積立時に適用されているのが分かる。
正直よく分からないのは、「5年間の積立が必要」という部分と“最大”5ヶ月分という表現だ。
推測にはなるが、5年未満で積立を停止したり払済みにしたりすると没収され、6年目以降の積立期間によっては減額される仕組みだろう。
いずれにしても、初期ユニットに対するボーナスだから、解約してしまえば初期ユニットごと没収となるので注意。
累積ユニットに対するボーナス(1)
3年目以降の支払額が入る累積ユニットに対しては、2つのボーナスがある。
まずは3年目以降、1年ごとに付与されるボーナスだ。
付与率は累積ユニット部の評価額の0.75%。
このボーナスは「ボーナスユニット」と呼ばれる専用のユニットで別管理される。
これによって毎年の手数料1%が、実質0.25%に軽減される仕組みなのだ。
ただしこのボーナスユニットも、途中解約すると没収となる点は頭に入れておこう。
累積ユニットに対するボーナス(2)
累積ユニットに対してはもうひとつボーナスがある。
それは「11年目以降の積立に対して、毎月の積立額に5%上乗せされる」というもの。
例えば月に5万円積立ているとすれば、積立額が52,500円になるということだ。
11年目以降しか付与されないが、最初から5%の利益が確定しているようなものなので非常に大きい。
詳細は以下の記事を参考にしてほしい。
今回のまとめ
ハンサードのアスパイアは、海外ファンドに積立投資を行う商品だ。
ユニットやボーナスなどの仕組みによって、積立期間が経過するほど実質の手数料が低くなる設計になっている。
それもあり、最初は手数料が高く感じるため、ネットでは詐欺だのなんだのという情報も多いが、そう思うならそもそも最初からやらなければいいだけ。
肝心なのは、自分がやっている投資内容を細部までしっかりと理解していること。
それが投資の大前提だ。
この記事でアスパイアについてしっかりと確認してほしい。
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